能・狂言 -Nou・Kyogen-

古くから日本人に親しまれてきた芸能

能・狂言の歴史は大変古く、室町時代にまでさかのぼります。
中国大陸から渡来したと見られる音楽と踊りをベースにして、日本の各地方で楽しまれていた田楽や独特の踊りが組み合わされてできたものとされています。

こうした庶民の踊りや音楽を取り入れ、1つの芸能としてまとめたのが、観阿弥・世阿弥という親子です。
今の能の形に近いスタイルに作り上げ、庶民から貴族まで楽しめる芸能にまで昇華させたのです。
そして、時の権力者であった足利義満に評価され、しっかりとした芸能としての地位を得ることになりました。

能・狂言は、演劇や音楽、美術、詩などがミックスされた、総合芸術で西洋で言うところのミュージカルに近いものがあります。
日本の美意識が集約されたものですので、日本文化について知るのにうってつけの芸能でしょう。

能と狂言はその内容によって異なる

能と狂言の違いは、演じられるテーマによって分けられます。
能は、昔から伝わる神話や伝説などをメインテーマとして、情緒的な雰囲気のものが多くある傾向にあります。
そのため、登場人物は有名な武将や伝説上の人物などが多くなっています。また、こうした人物を演じるために、面を着けて演じるのが普通です。

一方、狂言は、その字に見られるように、常識とちょっとかけ離れたおかしな人や出来事を演じるもので、コミカルで笑いを誘う内容となっています。
出てくる登場人物は一般庶民や普通の武士などがメインとなっていて、面を使うことなく素顔のまま演じます。

こうした内容の違いはありますが、同じルーツを持ちますので、ステージの造りや音楽、構成など基本的なスタイルは似ています。
それぞれの好みに合わせて、能もしくは狂言を楽しむと良いでしょう。

現代に合わせた曲が書かれることもある

能や狂言の演目は、基本的に昔から伝わる古典的なものが多い傾向にあります。
すでに廃れてしまったものを含めると能の演目は、3,000を超える曲があるとされています。
そのうちの200ちょっとの演目は現代でも演じられていて、原行曲として知られています。

このようにたくさんの曲が存在していますが、現代のシチュエーションに当てはめて、新しい曲が作られることもあります。
こうした新作能が出続けることから分かるように、時代に応じてそのスタイルを進化させ、人々に愛され続けているのが能や狂言なのです。

多くの人にとってあまり実際に見ることが少ない芸能ではありますが、歴史と伝統のあるものですし、日本人の心を伝える貴重な伝統芸能ですので、どんなものかを知っておくのは肝心でしょう。
各地で、若い人にも能や狂言を知ってもらおうとイベントが開催されることもありますので、こうした機会を活用するのも良いでしょう。