姫鶴一文字

美しい名を持つ姫鶴一文字

上杉謙信や景勝の愛刀として伝えられ、現在、国の重要文化財として伝えられ続けているのが、姫鶴一文字です。
姫鶴一文字は、上杉景勝公御手選三十五腰の1つとして数えられており、1588年、押形本に掲載されたとされています。

美しい名前の所以には諸説有りますが、最も有力とされているのが、夢の説です。

当時、この刀を手に入れた謙信は、日頃使うには少々長すぎると感じたため、研師に磨り上げを命じた所、研師がその夜、夢を見ました。
夢には美しい姫君が現れ、「どうか切らずにお願い致します」と懇願し、翌日も、懇願をされ続け、名前を聞いたところ、鶴と名乗った所で、目覚めたそうです。

不思議に思った研師は、腰物係に相談をしたところ、腰物係も同じ夢を見たと言うことで、二人で謙信にこの話を行い、磨り上げが中止されたとされています。
夢の中で姫が鶴と名前を名乗った所から、姫鶴一文字という名前が付けられたという伝説が残されているのです。

余談ですが、この当時に比べると、現在の刀身が2センチほど短くなって居り、結局研いだという説もあると言われています。

他にも名前の由来として、刃文の状態が鶴の羽に似ている事から付けられたという説など、諸説あり、現在も真偽の程は定かではありません。

鎌倉時代作の太刀として重要文化財入り

そんな姫鶴一文字ですが、現在は、国の重要文化財として指定されており、指定名称、「太刀銘-(号姫鶴一文字)附黒漆合口打刀拵」とされています。

刃の長さは71、66センチ、反りは2、12センチと、比較的シャープな印象の刀として、姫と名が付けられるにふさわしい刀といえるでしょう。
二㎝ほど削られたとはいえ、その刀身の長さは健在で、当時では非常に珍しいタイプの刀として、重宝されていたとされています。

明治14年に、明治天皇が上杉家に立ち寄った際に、姫鶴一文字を気に入り押型を持ち帰った事から存在が世に広まり、現在は、国の重要文化財として指定をされています。
今もなお当時を彷彿とさせるその美しい佇まい、輝きは健在で、見る物を魅了する、姫と呼ばれるにふさわしい存在感を放っている点が特徴と言えるでしょう。

明治天皇は元々、無類の愛刀家として、伝来の名刀の閲覧をする事が趣味とされていましたが、そのなかでも特にお気に入りとされていたのが、この姫鶴一文字です。
その絢爛たる刃文がすっかりと気に入り、無我夢中になった結果、翌日の予定をキャンセルしてまで見入って居たという一説もあるとされています。

このように、偉人を無我夢中にさせるほどの強い魅力を話す、姫鶴一文字。
現在もなお、その美しさは現存し、日々磨かれ続けて居るといえるでしょう。